※この記事は2017年1月18日に、現時点での最新情報を加えたオピニオンを追記してあります。
こんにちは。無職から派遣看護助手に転職した、ままるです。
電通1年目の女性社員の自殺について、ネットでは騒ぎになっています。
「死んでしまいたい」 過労自殺の電通社員、悲痛な叫び:朝日新聞デジタル
僕自身、広告事業を行っていたときに電通とは直接仕事をしました。
案件が大きくなればなるほど、電通の上層部に会う機会が増え
「見てはいけない社会の仕組み」
を垣間みたような気がしました。
世間が見ている巨大企業「電通」と、それに直接関わった人間しか見えない「ほんとうの電通」
今日はそんなお話です。
電通とは
言わずと知れた、日本最大の広告代理店です。
明治時代創業の超巨大企業「電通」は、もはや1私企業ではなく
その影響力は国家企業と言っても過言ではありません。
我々が日常生活で見かける、テレビ、新聞、雑誌、街頭広告や駅広告など、あらゆる場面に電通は介入しています。
極端な話、我々の見る景色の全てに「電通」が関わっていると言ってもよいでしょう。
それゆえにその利権も強大なものです。
世の中の上流に行けば行くほど、電通の力は及んできます。
世の中は大きく
「モノを創る側」と「モノを受け取る側」
に分けられます。
「モノを受け取る側」が一般大衆(マーケット)とすると
「モノを創る側」の代表格が「電通」なのです。
電通の世の中への影響力は、とてつもないものがあります。
今も昔も、日本そのものが「電通」によって創られているといっても過言ではありません。
電通の闇
多くのテレビ局や新聞社が「電通」の影響力に怯えています。
ビジネスを行う上で電通と揉める事は、己の生命を脅かすことに他なりません。
それが証拠に、今回の電通新入社員の過労死自殺の件に関して、地上波では驚くほど報道がされていません。
日本のマスメディアは、電通に不利益を与えて得することは全くない構造になっているのです。
僕の立ち上げた会社はかつて、自民党の公式アプリの一端を製作する仕事をしました。
その受注の際、最終入札を許された会社は全部で5社。
そのプロジェクトを仕切っていたのは「電通」でした。
一般論からすると、広告代理店も「入札制」にするべきですよね?
別に電通ではなく、博報堂でもADKでも良いわけです。
しかしプロジェクトの舵をとるのは、否応無しに電通なわけです。
なぜならアプリ入札のプレゼンの場で、自民党側の責任者としてふんぞり返っていた議員は、元電通マンなのですから。
これまでの日本を、またこれからの日本を創っていくのも間違いなく「電通」という組織なのです。
電通の新入社員
広告事業だけでなく、世の中の仕事で「大手企業」と仕事をする際、電通はなんらかの形で関わってきます。
こちらとしては電通に多額なマージンを抜かれるので、勘弁してもらいたいのですが、そんなことを言っては「大手の案件」は取れないんです。
電通と関わっていく中で、電通内部の人間とも親しくなりました。
新人の扱いや、そのエピソードなども聞きましたが、想像を絶するくらいゲスで最悪な内容でした。
ここでは詳しく書きませんが、セクハラやパワハラというレベルの話では無かったです。
そもそも広告代理店の業界は、電通のスマートなイメージとは全くかけ離れた、常識を逸脱した「体育会系」です。
「寝ない」「休まない」が美徳とされているいわゆる「普通の会社」で働いているひとからしたら想像を絶する世界だと思います。
東大を始め一流大学を出た新卒者が、あの組織に入ったら、相当な地獄が待っているのは電通の内部の人間の話を聞けば分かります。
広告業界、特にその雄である電通に入社した瞬間「エリート」として送って来た学生生活とは、180度違う世界に放り込まれるわけです。
彼女が自殺したほんとうの理由
彼女の自殺に関して、ネットでは
「死んでしまってはおしまいだ」
「死ぬ前になんで辞めなかったんだ」
「電通は最悪だ」
のような意見が多く書かれています。
しかし、僕は彼女の自殺の最大の理由は、自身の「プライド」にあったのではないかと
思います。
「死ぬ前に辞めればよかった」
当たり前ですが、彼女は「辞めれなかった」わけです。
東大卒という自分の「プライド」。
電通社員というステータスを手放せない「プライド」。
自分自身が社会で通用しないという「プライド」。
彼女は「プライド」を捨てきれなかったからこそ、行き詰まった先に自殺という選択をせざるを得なかったのだと思います。
残念だったのは、彼女のツイッターの中で
久しぶりに会う彼氏に疲れた顔を見せられないので、そこでも気を張らなきゃ、みたいな書き込みがありました。
大好きな人にまで、守らなくてはいけない「プライド」が彼女にはあったのでしょう。
完全無欠な人間なんて、この世に存在しません。
僕の出会って来た電通社員達は、ほんとうに適当人間ばかりでした。
「あー余裕っす。余裕っすー。」
みたいな軽いノリ。
でもそんな感じで、軽々と数億円のお金を動かしていた。
彼らは、例外無く強靭なメンタルを持っていました。
ひとたびトラブルが発生すると、いつものヘラヘラ顔から鬼の面に一瞬で変化します。
阿修羅のような形相で、圧力を掛けてきます。
「この案件、失敗は許されないんですよ」
何度彼らの言葉に、背筋が凍ったことでしょう。
彼らは間違いなく、ビジネスマンとしては一流です。
人の血は赤い。けれど日本を、世界を創る仕事をするビジネスマンには赤い血は必要ありません。
普通の人が見た事も無い、緑の血が流れている、それが頂点にいるビジネスマンなのです。
きっと彼らも、新卒の時からそうだったわけでは無いはずです。
電通と言う異常な風土で生き抜いた後に、カラダを流れる血の色が変わったのだと思います。
世の中の仕事は大きく2つに分かれます。
- 生活の糧としてお金を稼ぐ手段としての「仕事」
- 自分が何者かになる為の手段としての「仕事」
電通という組織は、間違いなく後者であり、後者を選んだなら
その瞬間から「個人」としての「プライド」は捨て去るべきです。
自分の価値観の全てを捨て去って、とにかく「仕事」に浸かる。
そうしなくては自分のブライドに邪魔されて、自分が押しつぶされてしまうことになりかねません。
まとめ
彼女の死は本当に痛ましいですし、残念なことだと思います。
これから社会に出ようとしている若者は、この事実をより深く考えるべきだと思います。
電通のような組織で、生き抜く事が出来れば、それこそ日本を創る側の一端を担う人間になることが出来るのも事実です。
しかしそれには、多くの代償が必要になることもまた事実です。
「仕事」が人生の全てではもちろんありません。
しかし「仕事」の充実が人生の「充実」をもたらす要因になることもあります。
大切なのは、自分がどう生きたいのか。
自分には何が向いているのか。
他でもない、自分自身を自分でより良く知ることなんだと思います。
野球が大好きな子が水泳部に入ると、ツライですよ。
※これより2017年1月18日の追記記事になります。
電通、自殺社員の元上司らの処分決定
本日このようなニュースが報道されました。
電通、自殺社員の元上司ら社員3人処分 役員も報酬減額 (朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース
電通の社長だった石井直社長は、2016年12月に今回の電通社員の自殺についての責任を取るという形で、2017年1月の辞任をすでに発表しています。
本日1月18日の報道によると、役員五人の報酬カットによる処分、さらに自殺した社員の上司にあたる部長級以下三人を、社内規制により処分したと発表されました。
これによって、2015年12月に自殺した電通の社員の方に関する電通側の処分は、一応形としては見せた、ということになるのでしょうか。
電通という「法人」の怖さ
社長以下、この問題に関わる数名の「人」に関する処分は終わったように見えます。
しかし、この処分によって電通社員の自殺に関して、根本的な解決になったかどうかは疑問が残ります。
日本では、会社組織のことを「法人」と呼びます。
会社組織は「人」が集まって作り上げるものです。
しかし「法人」は「人」自体ではありません。
電通の残された「人」たちが、今回の一件をどのように受け止め、また変化して行くのか。
今後の電通、さらに日本における全ての法人の今後が注目されます。
目に見えない「法人」は、今日も、そしてこれからも、不気味に息をして、その生命を肥大化させていくのですから。